人生の枷②
さあ、既に更新が三日も遅れている。
どういう事なのだろうか…。
完全に気分が鬱々としていたので、無茶して更にしんどくなって書けなかったという言い訳をさせて頂こう。
この事についてはまた話そうと思う。
バカチンが〜♡とお叱り下さい。
昔話の続きを書いていきますか。眠たい目を擦って書いてるのでおかしい所があるかもしれない。
まあ、暇つぶし程度で読んでください。
父の再婚が決まり、彼女はレベルアップのジョブチェンジ。
私の義母になった。
彼女は私達と寝食を共にすることになった。
小学生の頃から、母のいない生活に慣れていた私にとってそれからの毎日は「違和感」に満ち溢れていた。
お互いを知らない人間が自分の活動拠点にずっといる。なんなら掃除洗濯もしている。
毎日の食事も今まで口にした事の無いようなテイストの料理に変わる。
何なんだこれは。
それまで母親は家にいなかったが、母親代わりの人間はいたのだ。
それは祖母である。
私は祖母の作る料理が大好きだ。
十年以上使っても慣れないパソコンを使い、人差し指でタイピングをしてレシピを調べ、レシピを見たのにも関わらず目分量で食材や調味料を入れていく。
雑なように見えるが誰にも真似出来ない「また食べたい」と思える味を作り出すのが大変上手な人だ。
私も父も妹もその味で育ってきた。
だが、我が家の料理長は家に来たばかりの新人になってしまった。
新人料理長は料理が下手という訳では無い。しかし、特別上手という訳でもない。
では何が不満だったのか?
「我が家」の味を知らない事だ。
彼女は知人の料理教室に通っていた事もあり、料理へのこだわりが強い方だ。
お気に入りのレシピ本を開き、分量を守り丁寧に作っていく。出来上がった料理はこだわりを感じる。口に運ぶと食べ慣れない味がする。
何だろうか…
「味薄くないかな?」
家族が口を揃えて言った。
確かに味が薄い。我が家は醤油、ソース、マヨネーズ、油大好きの塩分摂りすぎ生活病まっしぐらな濃いお味大好き一家だ。
祖母の料理は醤油がベースのものが多いので余計にそれを感じたのであろう。
彼女は元々薄い味付けの料理を食べて育っていたので、薄い味が普通だと思っている。
ここでギャップが生まれる。
彼女は努力家なのでそれからなるべく私達に合わせた料理を作ってくれた。流石に目の前で醤油をかけたり、塩を足したりするのを見たら良い気分にはならないだろうし…
毎日我が家に合わせていく料理を食べても、私には何かが足りなかった。
私はとにかく祖母の料理が食べたくて仕方なかった。「母」の味を楽しみたかった。
茄子とひき肉を汁まで食べたい。
大根葉とじゃこをご飯にいっぱい乗せて食べたい。
ばあちゃんの作るご飯食べたい…。
妹も多分同じようなことを考えていたのかもしれない。まだ小学生だったので上手く気持ちを表現出来ずよく食事を残していた。
野菜嫌いなこともあって、栄養バランスを考えて野菜もしっかり入った料理は、食わず嫌いのお子様の口には合わないようだった。
食の好みが合わないことはかなり痛い。
中学生の私にはかなりストレスだった。
ここから更に溝が出来ていく。
四月か五月になった頃、また父が私と妹に話があると呼んだ。
私には呼ばれた理由が見当もつかなかった。
「大事なお話があります。」
父が改まって話し始めた。
「○○ちゃんとの赤ちゃんが出来ました。」
またもや仰天。早くないですか。
「産まれるのは順調なら年明け頃になると思う。赤ちゃんが産まれるまで○○ちゃんのことサポートして欲しいと思ってる。」
頭の中はそれどころでは無い。
いつの間に。
思春期のマセガキは脳内で保健体育の授業で聞いた十月十日の計算をしている。
父と彼女は夜の営みをどのタイミングで行っていたのか名探偵の如く推理している。
二人の寝室は同じ…。
二人だけで出掛けることも無かった……。
つまり犯行現場はそこしかない。名推理。
夫婦となればやることやるのは分かるのだが、思春期にもなる年齢の子供には生々しく感じるのも仕方がない。
産まれてくる赤ちゃんには何も罪はないし、喜ぶべき事なのに本心で喜べない。
自分とは違う母親の弟妹。複雑だ。
父と実母は何故離婚してしまったのだろうと要らぬ事ばかり考えてしまう。
自分に付いた枷が少し重くなったのを感じた。